2026/11/01 15:24









MODMNT FIELD DOWN JACKET
約100年前の狩猟服から生まれた、新しいダウンジャケット。
MODMNTからFIELD DOWN JACKETが入荷。
今回のデザインソースは、ヴィンテージのアメリカン・ハンティングジャケット。大きな襟、左右で大きさの異なるレザーパッチ、上下に重なった独特なポケットなど、かつての狩猟服が持っていた機能的なディテールを随所に取り入れている。
そして、それらを鈴木大器氏が現代の高機能素材とダウンによって再構築。さらに内ポケットを展開することで、ショート丈のジャケットから膝下まで届くロングコートへと変化するという、実に独創的な構造まで備えている。
狩猟という文化から生まれた機能美
アメリカン・ハンティングウェアの面白さは、狩猟という明確な目的から、独特なデザインが生まれていること。
銃床を肩に当てる部分の補強、弾薬や道具を収納するためのポケット、寒さや雨風から身体を守るための襟や生地。
1920年代から40年代のアメリカン・ハンティングジャケットを見ると、こうした実用的なディテールが数多く確認できる。
そして面白いのが、これほど機能を重視した服でありながら、大きな襟や身頃の作りには、どこか端正で品のある雰囲気が残されていること。
実用性を追求した結果として生まれた、独特な造形美。今回のFIELD DOWN JACKETにも、その魅力が色濃く表れている。
左右非対称のレザーパッチ
まず目を引くのが、両肩に配置されたレザーパッチ。
特徴的なのは、左右で大きさが異なり、右肩のパッチが大きく取られていること。
このデザインの背景にあるのが、ハンティングウェアに見られるガンパッチというディテール。銃を構えた際に銃床が当たる肩の部分を補強するためのもので、古いアメリカン・ハンティングジャケットにも見られる構造だ。
もともとは狩猟という行為から生まれた合理的なデザイン。それを左右非対称のレザーパッチとして取り入れることで、ジャケット全体に独特な表情を与えている。
大きな襟と組み合わさることで生まれる、クラシックな佇まいも魅力的だ。
1920年代のDRYBAKにも見られる二層ポケット
そして、個人的に特に面白いのが両脇のポケット。
上下に二つのポケットが重なっているのだが、単純にポケットを二段に配置したものではない。
上段は斜めに手を差し込めるハンドウォーマーポケット。その袋部分が、そのまま下段ポケットのフラップとして機能するという独特な構造。
つまり、一つのパーツが二つの役割を兼ねている。
実は、こうした発想は1920年代のアメリカのDRYBAK製ハンティングジャケットにも確認できる。
当時のDRYBAKには、ハンドウォーマーポケットが下段のカーゴポケットや散弾用ポケットのフラップを兼ねる構造が存在していた。
狩猟中に手を温めるためのポケットと、弾薬や道具を収納するためのポケット。その二つを限られた面積に収め、一つのパーツに複数の役割を持たせてしまう。
約100年前のアメリカ人は、すでにこんな合理的な構造を考えていた。
古い服は本当に面白い。
そして、その機能的な構造が、現代ではジャケット全体の立体的な造形を生み出す重要なデザインにもなっている。
コットンのような表情を持つHYBRIZATECH
表地に採用されているのは、三層構造の防水透湿素材HYBRIZATECH。
耐水圧は11,000mm。
耐水圧とは、生地がどれほどの水圧に耐えられるかを示す数値。一般的な傘の生地では約250mmが一つの目安とされ、軽い雨に対応する衣料用生地では2,000mm程度が目安となる。
それに対してHYBRIZATECHは11,000mm。傘の目安と比較すれば約44倍、2,000mmの衣料用生地と比較しても約5.5倍に相当する数値だ。
さらに透湿度は8,500g/㎡/24h。規定された試験条件下で、生地1㎡あたり24時間に8,500gの水蒸気を透過させる性能を示している。
表側の生地、防水透湿機能を担う膜、内側の保護層を組み合わせた三層構造によって、雨の浸入を抑えながら衣服内部の湿気を外へ逃がす。
そして、今回のHYBRIZATECHで何より注目したいのが、その見た目。
いわゆる高機能素材にありがちな、化学繊維特有の光沢や人工的な表情が強くない。
まるでコットンのような、ナチュラルで落ち着いた風合い。
かつてのアメリカン・ハンティングジャケットに使われていたコットンダックやキャンバスを思わせる、素朴な生地の表情。
見た目はクラシックな天然素材。中身は現代の高機能素材。
この組み合わせが実にいい。
レザーパッチや大きな襟、独特なポケットといったヴィンテージ由来のデザインに、この自然な風合いが非常によく合っている。単に機能性が高いだけでなく、ジャケットの雰囲気そのものを成立させる重要な素材選びだ。
スペイン産760FPダウンと日本の羽毛精製技術
そして、防寒性を支えているのが、NANGAが採用するスペイン産ホワイトダックダウン。
760フィルパワーという高い嵩高性を持つ羽毛だ。
ここで注目したいのは、単に高品質なダウンを使用しているということではない。スペインでの水鳥の飼育から、日本での羽毛の洗浄・精製に至るまで、その品質を支える工程に明確な理由がある。
NANGAが使用するスペイン産ダウンの背景には、フランスとスペインの国境に位置するピレネー山脈東部の飼育環境がある。
採用されているのは、ムラード種と呼ばれる水鳥。マスコビー種とペキン種などを交配して生まれる品種で、NANGAは大きく発達したダウンボールが得られることを特徴としている。
さらに重要なのが飼育期間。
NANGAの資料では、スペインの契約農場で80日以上の長期飼育を行っていると説明されている。比較対象となる一般的な短期飼育は40日未満。
倍以上の期間をかけて水鳥を育て、発達したダウンボールを持つ良質な羽毛を得ているわけだ。
ダウンボールとは、中心から細い羽枝が放射状に広がった綿毛状の羽毛のこと。その細かな枝の間に大量の空気を保持することで、身体の周囲に断熱層を形成する。
ダウンジャケットが暖かいのは、羽毛そのものが熱を発生させるからではない。身体から生まれる熱が逃げにくいよう、空気の層を作るからだ。
その膨らみを示す指標がフィルパワー。760FPとは、規定された試験条件下で一定重量の羽毛がどれだけの体積に膨らむかを表した数値だ。
一般的な600FP前後のダウンと比べれば、760FPは約1.27倍の嵩高性を示す計算になる。少ない重量でも大きく膨らみ、より多くの空気を蓄えることができる。
そして、このスペイン産ダウンの品質をさらに高めているのが、日本の羽毛専門メーカー、河田フェザーの精製技術だ。
1891年創業の河田フェザーは、三重県明和町に拠点を構え、原毛の洗浄から乾燥、除塵、選別までを一貫して行っている。
その品質を支える大きな要素が、伊勢平野の地下水。
洗浄に使用するのは、硬度3〜5mg/Lという極めて軟らかい水。一般的な日本の水道水の硬度が50〜60mg/L程度であることを考えると、その違いは大きい。
ミネラル分の少ない超軟水を使用し、独自の水流で羽毛同士を擦り合わせる研ぎ洗いを行うことで、余分な油脂や不純物を取り除き、羽毛本来の膨らみを引き出していく。
その精製技術の高さを具体的に示すのが、羽毛の清浄度。
これは羽毛を水とともに振とうし、その水の透明度を測定するもの。日本羽毛製品協同組合の基準では500mmが一つの目安となるのに対し、NANGAが公表する羽毛の清浄度は2,000mm。
測定深度にして4倍に相当する数値だ。
スペインで長期間飼育された水鳥から得られる良質な羽毛を、日本の高度な精製技術によって仕上げる。
そして、その760FPのダウンを包み込むのが、防水透湿素材HYBRIZATECH。
ここで改めて注目したいのが、ジャケットの外観と内部構造の対比。
表面にはコットンダックやキャンバスを思わせるナチュラルな表情があり、その内側には760FPのダウンが作る、空気をたっぷりと含んだ保温層が存在する。
古いアメリカン・ハンティングジャケットを思わせるクラシックな佇まいでありながら、身体を包み込むのは現代のダウンジャケットならではの量感と暖かさ。
この素材と構造の組み合わせによって、昔の狩猟服とはまた違った立体的なシルエットが生まれている。
着脱式フードと袖口のインナーリブ
フードはジップによって取り外しが可能。
フードを装着すればアウトドアウェアらしい機能的な表情に。取り外せば、大きな襟と両肩のレザーパッチが際立つクラシックなハンティングジャケットへと印象が変わる。
また、袖口の内側にはリブを配置。冷たい風の侵入を抑え、保温性を高めるためのディテールだ。
見た目にはクラシックな袖口の雰囲気を残しながら、内側には現代の防寒着としての機能を組み込んでいる。
脱いだジャケットを背負うためのストラップ
さらにジャケット内部には、着脱可能なストラップを装備。
これは、ジャケットを脱いだ際に、そのまま背負って持ち運ぶためのもの。
寒い屋外から暖かな室内へ移動した際など、厚みのあるダウンジャケットは意外と持ち運びに困る。
そんなときに、ジャケット自体を背負えるという発想。
しかもストラップは着脱式なので、必要に応じて使い分けられる。
服を着ているときだけでなく、脱いだときまで考えられている。実に合理的なディテールだ。
内ポケットがロングコートの裾へと変わる2WAY構造
そして、このFIELD DOWN JACKETで最も驚かされるのが、着丈を変化させる2WAY構造。
ジャケットの内側には、ジップとスナップボタンで固定された内ポケットが設けられている。
この固定を外すと、内側に折り畳まれていた生地が前後に展開。ショート丈のダウンジャケットが、膝下まで届くロングコートへと姿を変える。
しかも、単純に着丈が長くなるだけではない。
背面はモッズコートを思わせる、丸みのある独特な裾のライン。
前面は裾まで完全には閉じない構造となっており、ロング丈になっても独特なシルエットを生み出している。
そして何より面白いのが、短い状態では内ポケットとして機能していた部分が、展開するとコートの裾になるという発想。
収納するための構造が、服のシルエットそのものを変えてしまう。
これは単なる着丈調整とは違う。
こんな発想、普通は出てこない。
100年前の狩猟服の合理的なポケット構造を受け継ぎながら、そこにはなかった新しい機能を生み出している。
ショート丈のダウンジャケットと、膝下まで届くロングコート。
そのまったく異なる二つの姿が、同じ一着の中に収まっているのです。
MODMNT FIELD DOWN JACKET
BRAND:MODMNT
ITEM:FIELD DOWN JACKET
COLOR:Olive / Navy
SIZE:XS / S / M
PRICE:110,000円(税込)
少し大きめのサイズ感。XSは通常のS、SはM、MはL程度。
WEB STORE未掲載。
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