2026/10/18 17:33











STILL BY HAND 先染めポリエステルテーパードパンツ PT09263
都市で静かに主張するデイリーなスラックス。
スラックスは好きだけれど、普段穿くなら少し崩れているくらいがいい。きちんとした印象は欲しい。でも、あまりに整い過ぎていると、今度は着る側まで気を遣ってしまう。服としての綺麗さは残しながら、もっと自然体で穿けるものがあってもいいと思う。
STILL BY HANDの先染めポリエステルテーパードパンツ PT09263は、そんな感覚にしっくりくる一本。梳毛ウールを思わせる生地に、奥行きのある色合い、うっすらと浮かぶドットストライプ。ここまでなら、端正なスラックスとして仕上げることもできる。ところが、STILL BY HANDはそこへあえて自然なシワを加えている。
個人的に、今回のパンツで一番惹かれるのはここ。せっかく綺麗につくった生地を、わざわざシワで崩す。その発想がいい。しかも、ただカジュアルに見せたいからではなく、シワそのものを生地の表情として成立させている。綺麗に仕上げることだけが、いい服をつくる方法ではない。そんなSTILL BY HANDのセンスが、この一本にはよく表れている。
梳毛ウールを思わせる、先染めポリエステル
使用しているのは、ポリエステルでありながら梳毛ウールを思わせる質感を持った生地。2種類の糸を混ぜることで、単一の色では表現しきれない、奥行きのある色合いに仕上げられている。
さらに、表面にはうっすらとドットストライプが浮かび上がる。はっきりと柄を主張するストライプではなく、近づいて見ることでその存在が分かる程度の控えめなもの。先染めによる複雑な色合いの中に細かな柄が重なることで、離れて見た時には落ち着いた印象があり、近くで見ると生地の細かな表情が伝わってくる。
そして、見た目はウールスラックスを思わせながら、素材はポリエステル。ウール特有のチクチクとした感触がなく、肌触りはサラッとしている。洗濯にも過度に神経質になる必要がなく、日常のパンツとして付き合いやすい。見た目の良さだけでなく、実際に穿くことまで考えた時に、この素材を選ぶ意味が見えてくる。
綺麗な生地を、シワで崩す
このパンツの大きな特徴が、薬品加工によって施された取れにくいシワ。自然なシワの見え方にこだわり、あえて生地の表面に不規則な凹凸をつくっている。
ここで面白いのが、光を受けた時の生地の表情。平滑な生地であれば比較的均一に見える色も、シワが入ることで光が当たる部分と影になる部分が生まれ、同じ色の中に明暗の変化が現れる。そこへ先染めによる色の奥行きと、細かなドットストライプが重なる。シワの山と谷によって柄の見え方にも変化が加わり、見る角度によって異なる表情が楽しめる。
この加工の面白さは、シワを加えても生地が持つ端正さを失っていないこと。梳毛ウール調の生地だからこそ、不規則な凹凸が加わってもラフになり過ぎない。逆に、綺麗な生地だからこそ、シワによる崩しが際立つ。
先染めの色合いも、控えめなドットストライプも、シワ加工も、それぞれが単独で主張するのではなく、一枚の生地の中で自然につながっている。STILL BY HANDがどこまで整えて、どこを崩すのか。その判断が、このパンツの表情を決めている。
ゆとりを持たせながら、裾へ向かって整える
シルエットは、ヒップと腿周りにゆとりを持たせながら、裾に向かってテーパード。腰から腿にかけては身体の線を拾い過ぎず、そこから徐々に細くなることで、ゆったりとした穿き心地とすっきりとした見た目を両立している。
ヒップや腿に余裕があっても、裾まで同じ太さで落ちていくわけではないため、パンツ全体が必要以上に太く見えない。上部には自然な量感を残しながら、足元に向かって輪郭が絞られることで、シワ加工の入った生地にもまとまりが生まれる。
細身のスラックスとは違う気楽さがあり、それでいてルーズなパンツとも違う。生地にはあえて不規則な表情を加えながら、シルエットではきちんと輪郭を整えている。ここにも、STILL BY HANDらしいバランス感覚がある。ヒップと腿にゆとりを残したテーパードだからこそ、綺麗さと気楽さが無理なく同居している。
STILL BY HAND 先染めポリエステルテーパードパンツ PT09263
そして、このパンツのシワは薬品加工によって取れにくく仕上げられている。せっかく生まれた表情を、穿くたびに整え直す必要がない。梳毛ウールを思わせる綺麗な生地に、最初から自然なシワが刻まれている。その状態で日常の一本として穿けるところが、このパンツの魅力です。綺麗に見えることも、気楽に穿けることも、どちらも諦めていません。スラックスの端正さを残しながら、自然体で穿ける一本をLAMPAから紹介します。
