2026/10/13 22:25



LAMPA CITY STANDARD
~東京カジュアルの正統派~
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BRENA — OBLI GERMAN DUCK

ワークウェアの無骨さに、ヨーロッパの洗練と男の色気。
フレンチワークをBRENAの感性で再構築

カバーオールといえば、まず思い浮かぶのはアメリカンワーク。厚く硬いダック地、大きなポケット、頑丈な作り。道具として生まれた服ならではの無骨さには、やはり惹かれるものがある。

ただ、同じワークウェアでも、ヨーロッパのものには少し違った魅力がある。実用的な作業着でありながら、どこか端正で、無骨さの中に色気がある。特にフランスの古いワークジャケットには、アメリカンワークとは異なる独特の佇まいを感じる。そんなヴィンテージのFRENCH WORK WEARをベースに、BRENAらしい解釈で形にしたのが新型OBLIだ。

LAMPAでも人気の高いGARDIに続き、新たな定番になってほしいと思えるカバーオール。デザインソースはフランス、使われている生地はGERMAN DUCK、そして異素材の切り替えにはイタリア製の人工スエード。フランスのデザイン、ドイツの生地、イタリアの素材。この組み合わせを知るだけでも、服好きとしては興味をそそられる。しかも今回はTABACとBLACKの2色。それぞれに違った魅力がある。

アメリカンワークとは違う、GERMAN DUCKの魅力

ダック地と聞いて思い浮かべるのは、CARHARTTに代表されるアメリカンワークの、厚く、硬く、重たい、あのガシッとした生地。あれはあれで格好いいし、長年親しんできた素材でもある。

ところが、このGERMAN DUCKは印象が違う。ダック地らしいしっかりとした芯とハリがありながら、適度な柔らかさと軽さを備えている。生地そのものに力強さはあるものの、過剰な硬さがなく、袖を通した時の感覚は軽快だ。

一般的なヘビーダックのカバーオールでは、生地の硬さそのものが服の輪郭を作ることも多い。しかし、このGERMAN DUCKは、しっかりとしたハリを残しながらも硬さを主張しすぎず、ジャケット本来の形を自然に見せてくれる。

この違いは着心地だけでなく、見た目にも表れている。ダック特有の乾いた質感とワークウェアらしい力強さはありながら、必要以上に重たく見えない。だからこそ、襟やポケットの形、異素材の切り替えといったデザインも生きてくる。

アメリカンワークのダックが持つ無骨さとは、また違った魅力。同じカバーオールでも、生地の選択ひとつでここまで印象が変わる。フレンチワークをベースにしたOBLIに、このGERMAN DUCKを選んだことには大きな意味がある。

TABAC — フレンチワークの土臭さと色気

今回のOBLIで、特に気に入っているカラーがTABAC。

フレンチワークといえばブルーのモールスキンを思い浮かべるが、古いフランスのワークウェアにはCACHOUと呼ばれる褐色系の色も存在していた。そしてTABACもまた、タバコの葉を思わせる黄褐色から茶色を指す、フランスで古くから使われてきた色名だ。

この色の魅力は、単なるブラウンとは少し違うところにある。タバコの葉を思わせる落ち着いた褐色には、ワークウェアらしい土臭さがありながら、どこか柔らかさも感じられる。GERMAN DUCKの乾いた質感と重なることで、色と生地の両方から自然な力強さが伝わってくる。

特にデニムと合わせた時がいい。ブルーのデニムに対してTABACの褐色がはっきりとした色の違いを生みながら、互いに主張しすぎない。ワークウェア同士の組み合わせでありながら、アメリカンワークのヘビーダックとは違った落ち着いた見え方になる。

そして、このTABACにイタリア製のスエードが加わることで、色の表情がさらに豊かになる。ダック地の乾いた表面と、スエードの起毛した表面。同じジャケットの中に異なる質感があることで、褐色の印象が単調にならず、襟や胸ポケットに自然と目が向く。

茶色いワークジャケットは、ともすれば無骨さが前面に出すぎることもある。しかし、このOBLIはTABACの持つ土臭さと男らしさを残しながら、異素材の切り替えによって洗練された印象にまとめている。フレンチワークをベースにした服だからこそ、この色が実によく似合う。

BLACK — 黒の中に浮かび上がる素材の質感

一方のBLACKにも、フレンチワークの歴史とつながる魅力がある。

フレンチワークといえばブルーのモールスキンが有名だが、古いフランスのワークウェアにはブラックモールスキンのジャケットも存在していた。ヴィンテージ市場ではブルーに比べて見かける機会が少なく、古いフレンチワークを知る人にとっては特別な魅力を持つ色でもある。

つまり、フレンチワークにおけるBLACKは、現代的な印象を与えるためだけの色ではない。実際に労働着として着られてきた歴史を持つ色だ。

もちろん、今回のOBLIはモールスキンではなくGERMAN DUCK。モールスキン特有の起毛した表面とは異なり、ダック地の乾いた質感が前面に出ている。古いブラックモールスキンのワークジャケットとは、同じ黒でも素材の見え方がまったく違う。

このBLACKで特にいいのは、大きなポケットやチンストラップといったワークウェアらしいディテールが、全体の色に自然と馴染んでいること。形そのものはしっかりと主張しているのに、黒で統一されることで輪郭が整理され、ジャケット全体がすっきりと見える。

そして、このBLACKをさらに面白くしているのが、イタリア製の人工スエードとの組み合わせ。ダック地の乾いた表面と、スエードの起毛した表面。同じ黒を基調としながら、光の受け方や素材の質感が異なることで、襟や胸ポケットの切り替えがさりげなく浮かび上がる。色で強いコントラストを付けるのではなく、素材の違いによって黒に奥行きを生み出している。

ブルーデニムと合わせれば、黒いジャケットが明確な輪郭を作り、上下の色にメリハリが生まれる。ワークウェア同士の組み合わせでも、色の対比によって装い全体が引き締まる。TABACとはまた違った方向から、OBLIのデザインを楽しめるカラーだ。

両面起毛のイタリア製スエードが生む、ワークウェアの色気

デザインはヴィンテージのFRENCH WORK WEARをベースに、襟にはチンストラップを備え、胸ポケットと両脇には丸みを持たせた大きめのポケットを配置。

特に両脇のポケットは、ワークウェアらしい実用的な大きさを持ちながら、角を立てずに丸みを持たせることで、前身頃に柔らかな線を生み出している。無骨なカバーオールでありながら、どこか洗練された印象を受けるのは、こうした形の取り方も大きい。

そして、このOBLIをさらに魅力的にしているのが異素材の切り替え。襟、胸ポケット、袖の内側には、イタリア製のウォッシャブル人工スエードを採用している。一般的なスエード調素材は片面起毛のものが多いが、今回使用しているのは両面起毛のタイプ。そのため通常のものより厚みがあり、しっかりとした素材感を備えている。

この厚みが、実にいい。

薄いスエードではなく、両面起毛による厚みを持った素材を貼り付けることで、GERMAN DUCKの力強さに負けない存在感が生まれている。襟や胸ポケットにスエードを配しても、ただ異素材を付け足した印象にはならない。それぞれの素材が持つ存在感が釣り合っているからこそ、切り替えそのものがデザインとして成立している。

特に顔に近い襟のスエードは、ジャケット全体の印象を左右する部分。チンストラップを備えたワークウェアらしい襟の形に、柔らかな起毛感が加わることで、首元に独特の表情が生まれている。

袖口の扱いひとつで変わる、カバーオールの表情

そして、もうひとつ面白いのが袖の内側へのスエード使い。

袖の内側にスエードを貼り付けているため、通常の状態ではダック地が主体となるが、袖口を折り返すことでスエードが表に現れる。襟や胸ポケットと同じ素材が袖口にも加わり、ジャケット全体の見え方が変化する仕組みだ。

袖を折り返さず、すっきりと着るのもいい。少し折り返して、スエードを見せるのもいい。TABACでは褐色の中に異素材の切り替えがよりはっきりと現れ、BLACKでは大きな色の変化ではなく、起毛した素材の表面感によって印象が変わる。

大きくデザインを変えることなく、袖口の扱いひとつで服の表情を動かせる。僕はこういうディテールに弱い。

古いワークウェアにも、襟や袖口に異素材を用いたものは存在する。摩擦の多い部分を補強するという実用的な考え方もあるが、今回のOBLIに関しては、むしろ装飾的な意味合いが強いと感じる。

ただし、その装飾が決して過剰ではない。襟、胸ポケット、袖の内側という限られた場所に使用することで、GERMAN DUCKの魅力を損なわず、スエードの質感を効果的に見せている。ワークウェアの実用的なディテールを土台にしながら、装飾としての面白さを加える。この匙加減がBRENAらしい。

デニムにもスラックスにも合う、OBLIの懐の深さ

デニムや軍パンとの組み合わせでは、カバーオール本来の男らしさが生きる。一方、スラックスのすっきりとした線に対しては、OBLIの丸みのあるポケットやワークウェアらしい輪郭がアクセントになる。合わせるパンツによって、同じディテールが違った役割を果たすところも面白い。

長く服を見続けていると、ヴィンテージのディテールを忠実に再現した服だけが魅力的なわけではないと感じる。古い服のどこに価値を見いだし、何を残し、何を変えるのか。その選択によって、服はまったく違うものになる。

フレンチワークの男らしさを残しながら、GERMAN DUCKの軽快さとイタリア製スエードの質感を重ねる。そしてTABACでは褐色の土臭さを、BLACKでは黒の中に現れる素材の表情を見せる。

このOBLIを選んだ理由は、まさにそこにある。古いワークウェアの魅力を知ったうえで、今の服として新しい格好良さを生み出している。だからこそ、単なるヴィンテージの再現では終わらない。

TABACとBLACK、同じデザインでも色が変われば魅力の見え方も変わります。どちらもフレンチワークの持つ男らしさを残しながら、BRENAならではの感性によって新しい表情を生み出しています。袖を通して、その生地の軽快さや細部の作り込みまで感じてほしい一着です。