2026/10/06 15:27



LAMPA CITY STANDARD
~東京カジュアルの正統派~
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A VONTADE AFTER HOODIE PARKA VTD0601-CS

ヴィンテージスウェットを思わせる、乾いた質感と骨のある生地。
後付けフードとドラポケ。機能から生まれた古いディテールを一着に。

アメカジが好きなら、ヴィンテージスウェットのディテールにはどうしても惹かれるものがある。後付けフード、ドラポケ、リバースウィーブ仕様、脇のリブパネル、フラットシーマ。今となっては、それぞれがヴィンテージを象徴する格好良いディテールとして見られている。

でも、もともとは格好良く見せるためにつくられたものではない。寒さをしのぐ。縮みを抑える。身体を動かしやすくする。着る人にとって必要だったから生まれた工夫が、時間を経て、今の僕たちには格好良く見える。

A VONTADEのAFTER HOODIE PARKAには、そんなヴィンテージスウェットの面白さがかなり濃く詰め込まれている。硬さのあるBD糸からつくられた裏毛。クルーネックの襟リブを残した首元。その外側から付けられた二枚仕立てのフード。身頃の中央で存在を主張するドラポケ。さらにリバースウィーブ仕様、脇のリブパネル、フラットシーマまで入る。

ただ、これは古いディテールの数を競う服ではない。これだけヴィンテージの要素を強く入れながら、全体を見た時にはいわゆるレプリカ特有の古臭さへ向かわない。古いものへの理解は深い。でも、服そのものは今着て洒落て見える。その加減こそA VONTADEの服づくりの巧さであり、僕がこのパーカーに惹かれた大きな理由でもある。

乾いた質感と骨のある裏毛

生地には、もともと硬めの風合いを持つBD糸を二本撚り合わせた双糸を使い、目を詰めて編み立てた裏毛を使用している。触れた時にまず感じるのは、ふっくらとした膨らみの中に残る乾いたシャリ感と、しっかりしたコシ。最初からふわふわに柔らかく仕上げたスウェットとは、触った瞬間から方向が違う。

ヴィンテージのスウェットには、年代やブランドを確認する前に、生地に触れただけで何か違うと感じさせるものがある。滑らかに整えられた現代的な裏毛とは違う、少し乾いていて、手の中に生地そのものの存在を感じる質感。この裏毛から感じるのも、そんな古いスウェットを連想させるタッチだ。

しかも、表側の力強さだけで押し切っていない。裏面には細かな起毛を施し、身体に触れる側には柔らかさと保温性を持たせている。外側にはシャリ感とコシがあり、内側には細かな起毛がある。

見た目には昔のスウェットが持つ無骨さを感じさせながら、身体へ触れる側まで同じ方向には振らない。この表裏の差がいい。ヴィンテージを意識した生地だからといって、ただ硬く、粗くつくればいいわけではない。外から見える表情と、実際に身体が触れる場所。その両方を考えて一枚の生地にしている。

首元に残されたクルーネックの痕跡

このパーカーで、僕がまず見てほしいのが首元だ。一般的なパーカーなら、首の開きからそのままフードへつながっていく。しかし後付けフードは違う。クルーネックの丸い襟リブを残し、その外側、後方からフードが縫い付けられている。

つまり、首元にクルーネックスウェットの姿が残っている。その上にフードが加わっている。名前の通り「後付け」であることが、構造そのものから見える。

背景にあるのは、スポーツウェアとしての防寒性だ。身体を暖めるスウェットに、頭や首元を覆うフードを加える。1939〜40年のSEARSのカタログにも、フード付きスウェットが新品として掲載されている。今では希少なヴィンテージの意匠として眺めるこの形も、当時は着る人のためにつくられた現役のスポーツウェアだった。

ここが面白い。今見て格好良いから、後から考えられたデザインではない。必要があって生まれた構造が、その役目を越えて残り、何十年も経った僕たちの目に格好良く映っている。

そして後付けフードは、実際に着た姿にもはっきり表れる。丸い襟リブが前から見え、その後ろからもう一段フードが立ち上がる。普通のパーカーならひと続きになる場所に二つの輪郭が重なることで、首まわりに独特の奥行きが生まれる。フードを被った時だけのディテールではない。背中へ下ろしている普段の状態でも、この重なりは消えない。

A VONTADEでは、そのフードを二枚仕立てにしている。生地を二重にすることでフード自体に量感を持たせ、下ろした時にも薄く潰れず、しっかりと立つつくり。さらにフードコードにはニッケルチップ加工を施したコードを使用している。

丸い襟リブ。その後ろから立ち上がる二枚仕立てのフード。そして、そこから垂れるコード先端の金属。首元だけを見ても、この服が普通のパーカーとは違うことが分かる。

前身頃をつくるドラポケ

フロントに付くのは、ヴィンテージスウェットで通称「ドラポケ」と呼ばれるポケット。ここも見慣れたカンガルーポケットとはつくりが違う。身頃の上からポケットを重ねて付けるのではなく、身頃とポケットを切り替えて組み合わせる構造を持つ。

ポケットを後から付け足したというより、ポケットまで含めて前身頃を組み立てている。そのため、正面にはドラポケ特有の切り替え線が現れる。単に収納する場所が変わっているのではない。服の顔そのものが変わる。

後付けフードと同じく、ドラポケも構造を知ってから見ると印象が変わる。前身頃の中央に大きく入る切り替えは、プリントや刺繍とは違う。服を組み立てるための線そのものが、そのままデザインとして見えている。だから装飾がなくても、正面から見た時に独特の存在感が残る。

リバースウィーブと脇リブ

ボディにはリバースウィーブ仕様を採用している。生地を横方向に使うことで縦方向の縮みを軽減し、さらに脇にはリブパネルを配して横方向への伸縮性を確保する。縦の縮みには生地の使い方で対応し、横の動きには伸びるリブを置く。

身頃の生地の向きを変え、脇に別のパーツを入れる。正面から見ただけでは派手に主張する部分ではないが、ボディそのもののつくりが一般的なスウェットとは違う。

ポケットや脇ハギにはフラットシーマを採用している。縫い代を大きく重ねず平らに仕上げることで、厚みのあるスウェット生地でも接ぎ目がごろつきにくい。表から見れば一本の縫い線にしか見えない場所にも、きちんと理由がある。

後付けフードやドラポケだけを目立たせて、ヴィンテージらしさをつくっているわけではない。生地の向き、脇の構造、縫い方まで見ていくと、このパーカーが拾っているものが、単なる見た目ではないことが分かってくる。

A VONTADE AFTER HOODIE PARKA

後付けフードも、ドラポケも、リバースウィーブも、脇のリブパネルも、フラットシーマも、最初からヴィンテージになるためにつくられたものではない。着る人に必要だったから生まれた。その必要が形になり、縫い線になり、何十年も残り続けた結果、今の僕たちにはたまらなく格好良く見える。

A VONTADEは、その表面だけを拾っていない。乾いたシャリ感とコシを持つBD糸の裏毛から始まり、首元の構造、フードの量感、ドラポケの切り替え、リバースウィーブ、脇リブ、縫製まで、古いスウェットがなぜこの形になったのか、その理由ごと一着へ落とし込んでいる。

それでいて、着た姿はヴィンテージの答え合わせには見えない。ここが僕には重要だ。これだけ古いディテールを盛り込みながら、知識がなければ楽しめない服にはなっていない。まず一着のパーカーとして格好良い。

買った日に全部を理解して終わる服ではありません。着ているうちに首元の重なりが好きになり、ドラポケの切り替えに目がいき、生地や脇のリブ、縫製まで気づいていきます。アメカジを長く好きでいると、結局こういう服が手元に残ります。派手ではない。でも、普通ではない。古い服の格好良さと、その格好良さが生まれた理由まで楽しめる。LAMPAで長く紹介していきたいと思えるパーカーです。