2026/10/06 00:37



LAMPA CITY STANDARD
~東京カジュアルの正統派~
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A VONTADE — COACHES JACKET VTD-0576-JK

70年代のコーチジャケットを、今の空気感に。
都会の男にふさわしい、品と無骨さを備えた一着。

コーチジャケットは、昔から好きな服だ。90年代のアメカジやスケーターの装いを振り返ると、欠かせない存在だったと思う。Tシャツやパーカーの上から気楽に羽織れて、それだけで格好よかった。着方をあれこれ考えず、いつもの服の上に重ねて街へ出る。あの気負いのなさは、今もこの服に求めたいものだ。

ただ、今着たいのは、当時着ていたものと同じコーチジャケットではない。服を長く見続けていると、馴染みのある形でも、生地や色、細部のつくりによって、もう一度新鮮に見える瞬間がある。このA VONTADEを見たときに感じたのも、まさにそれだった。

ベースとなったのは、70年代のL.L.Beanのコーチジャケット。チンストラップを備えた襟と、シャモアクロスの裏地を持つモデルだ。簡潔なナイロンジャケットに、首元の防風と起毛コットンの暖かさを組み込んだ実用的なつくり。その考え方を受け継ぎながら、表地を替え、袖口をはじめとする細部に手を加えることで、A VONTADEは今着たいコーチジャケットへと組み直している。

昔から知っている服なのに、古着の再現だけでは終わっていない。僕がこの一着をセレクトした理由は、そこにある。

コートを思わせる生地が、コーチジャケットの見え方を変える

表地には、高密度に織り上げたコットンナイロンのウェザー生地を使用。糸を密に打ち込むことで生まれるハリとコシがあり、手に触れたときにもしっかりとした安心感がある。高密度の織りは風を通しにくくする方向にも働き、着たときには身頃や袖が身体へくったりと沿いすぎず、ジャケットの形を支えてくれる。

そこへ微起毛加工を施し、表面にごく細かな毛羽を持たせている。生地のハリを残しながら、触れたときの硬質な感触を和らげ、滑らかな手触りへ仕上げているのが特徴だ。細かな毛羽によって光の反射も穏やかになり、表面には落ち着いた陰影が生まれる。形を支える力はあるのに、見た目と手触りは柔らかい。このバランスが実にいい。

コットンの自然な風合いにナイロンの強さを組み合わせ、さらに撥水加工を加えることで、水滴が表面へ染み込みにくい仕上がり。日常で着るための実用性を備えながら、生地の見え方はあくまで穏やかだ。どこかコートに使われていそうな質感があり、特にベージュの落ち着いた色合いには品がある。

90年代に僕らが着ていたコーチジャケットの記憶は、もっと軽く、もっと簡素なものだった。もちろん、あの感じは今でも好きだ。ただ54歳になった今、昔とまったく同じものを着たいわけではない。コーチジャケットが持つ気楽さは残したまま、生地の表情や色に今の自分が納得できるものを求めたい。その答えが、この生地にはある。

デザインソースとなったL.L.Beanがナイロンの外側に暖かなシャモアクロスを組み合わせていたのに対し、今回はコットンナイロンの表地に、起毛したコットンスエードの裏地を合わせている。表地の微起毛は手触りと見え方を整え、裏地の起毛は保温性を高める。それぞれに役割があり、外側の質感を変えながら、内側には暖かさを持たせるという元の設計を受け継いでいる。

形だけを70年代から持ってくるのではなく、その服がなぜそうつくられていたのかまで拾い上げている。だから懐かしさだけで終わらない。

小さな部品に残る、70年代の実用的なつくり

襟には、L.L.Beanのモデルを特徴づけるチンストラップを配している。普段は襟を寝かせ、冷えたときには立てた襟を喉元で留める。前身頃を上まで閉じるだけでは残る首の開きを、襟側から補える仕組みだ。留めたときには首元を包む輪郭が生まれ、寝かせているときとはジャケットそのものの表情も変わる。

ここが面白い。格好をつけるために後から足されたディテールではない。風を防ぐという必要から生まれた部品が、そのままデザインとして格好いい。昔の服を見ていると、こういうところに惹かれる。

袖口は、ゴムだけで絞るイージーな仕様にタブを加えている。ゴムで手首に沿わせるだけでなく、タブによって締まり具合を自分で決められる。冷えたら襟を立て、袖口も締める。起毛した裏地で暖かさを持たせたうえで、その暖かさを逃がしやすい開口部にもきちんと手を入れている。

その一方で、脇には通気のための菊穴を配している。首元や袖口は必要に応じて閉じられ、脇には内側の熱や湿気が抜ける経路がある。風を避けるためのつくりと、着て動くためのつくりが、一着の中に揃っている。

チンストラップ、袖口のタブ、脇の菊穴。ひとつひとつは小さなディテールだが、どれも飾りではない。必要があって付けられ、その役割がそのまま服の顔になっている。

微起毛したベージュの生地には落ち着いた品がある。それだけなら、もっと綺麗な方向へ見える服になったかもしれない。そこへ、こうした実用から生まれた部品が残ることで、コーチジャケット本来の道具っぽさが消えない。この実用の積み重ねこそ、この一着に残る無骨さだ。

気楽さはそのままに、自分で整えられる一着

裾にはアジャスターを配し、シルエットを調整できる。緩めれば裾の広がりを残し、絞れば下側の輪郭がまとまる。同時に、裾から入り込む風を抑えるための調節にもなる。襟はチンストラップ、袖口はゴムとタブ、裾はアジャスター。風が入りやすい場所を、それぞれ自分で整えられる。

気楽に羽織れるコーチジャケットという形は何も難しくしていない。それでも、冷えたときには襟を立て、袖を締め、裾を絞ることができる。着る人が必要に応じて触れる場所がきちんと残されている。この実用を受け継いでいるからこそ、70年代のL.L.Beanをデザインソースにした意味がある。

Tシャツやパーカーの上に気楽に羽織る。それで十分だと思う。昔からやってきた着方を変える必要はない。変わったのは、その上に羽織るコーチジャケットの中身だ。

微起毛した落ち着いた表面、ベージュの穏やかな色合い、起毛したコットンスエードの裏地。そして、チンストラップや袖口のタブ、菊穴、裾のアジャスター。馴染みのある服だからこそ、生地と細部の違いがはっきり見える。いつもの着方のまま、着た姿だけが少し変わる。それくらいが、今の僕にはちょうどいい。

A VONTADE COACHES JACKET VTD-0576-JK

コーチジャケットが持つ気楽さは、年齢を重ねた今も手放したくないものです。その気楽さを残しながら、今の自分が納得できる生地と色があり、実用から生まれた無骨なディテールがきちんと残っている。だから僕は、このA VONTADEを選びました。昔からコーチジャケットが好きだった方にも、簡素なナイロンジャケットという印象で止まっている方にも、ぜひ袖を通していただきたい一着です。LAMPAが考える、都会の男のコーチジャケットの決定版です。