2026/08/18 18:23



LAMPA CITY STANDARD
~東京カジュアルの正統派~
CCP HK06 PS-AA106CCP HK06 PS-AA106CCP HK06 PS-AA106CCP HK06 PS-AA106CCP HK06 PS-AA106



CCP — HK06 PS-AA106

面積が少ないからこそ、何を足し、どこで止めるかが難しい。
その難しさを面白さへ変えてしまう、CCPを代表する人気モデルHK06。

ショーツという服は、シンプルに見えてデザインの加減が難しい。フルレングスのパンツに比べて面積が少ないため、ポケットや切り替えをひとつ加えただけでも、その存在が強く見えてくる。機能を盛り込めば便利にはなるが、それぞれが前へ出れば途端にうるさくなる。反対に、何もせず形だけを整えればすっきりとは見えるものの、機能的な面白さも、服を見た時のワクワク感も薄れてしまう。

では、どこまで入れるのか。どこで止めるのか。そして、加えたものをどう服の形へ変えるのか。CCPの人気モデルであるHK06には、その問いに対するブランドなりの答えが詰まっている。決して要素の少ないショーツではない。それでも完成した姿が機能の寄せ集めに見えない。僕がHK06に惹かれたのは、まさにそこだ。

CCPといえば、機能的でありながら美しい形状を生み出す独特の立体的なパターンメイキング。その特徴がHK06では、特にポケットまわりによく表れている。ただ収納する場所を増やすのではなく、ポケットの膨らみや重なりまで利用して身頃に立体感を与え、それ自体をショーツの輪郭へ取り込んでいく。機能のために必要な構造を、服を形づくる要素へ変えてしまう。

LAMPAがHK06に惹かれる理由は、単純に機能が多いからではない。限られた面積の中へこれだけの要素を入れながら、何を見せ、何をまとめ、どこで止めるのか。その判断にCCPならではの感覚がはっきり表れているからだ。HK06が人気モデルである理由も、便利さだけでは語れない。機能と造形が別々に存在せず、互いに作用しながらひとつの形へ収まっている。ここにCCPでなければ生まれない面白さがある。

立体的な造形を支える、ハリとドライな質感

生地には、適度なハリ感とドライな肌触りを持ち、吸水速乾性に優れたポリエステル生地を使用。暑い時期に穿くショーツとして実用的な性能を持つが、この素材はHK06の立体的な形を見せるうえでも重要な役割を担っている。

柔らかく身体に沿って落ちる生地とは異なり、適度なハリによって服そのものの形が残りやすい。前身頃に配置されたやや大きめの立体ポケットも、その膨らみが潰れて身頃と一体化するのではなく、ひとつの面として輪郭をつくる。さらにポケットが重なることで奥行きが生まれ、正面から見ても平面的なショーツにはならない。

そして、このハリがCCPの立体的なパターンメイキングと結び付く。身体の形をそのままなぞるのではなく、服そのものに輪郭を与えるパターン。その形を生地が支え、さらに立体ポケットが別の面を加えることで、HK06特有の造形が生まれる。素材、パターン、ポケットがそれぞれ独立しているのではない。ひとつが次のひとつを成立させ、その重なりが最終的な形につながっている。

一方で、形を出すことだけを目的にした素材ではない。ドライな肌触りと吸水速乾性を備え、暑い時期に穿くショーツとしての快適性まで考えられている。立体的な形を支えるハリと、肌に触れた時のドライな感覚。その二つが同居することで、造形の面白さだけに偏らず、日常で穿くための現実的な機能へきちんと戻ってくる。

二重構造のポケットが、前身頃そのものをつくる

HK06で特に目を引くのが、前身頃に配置されたポケットだ。やや大きめの立体ポケットに、手入れのポケットを組み合わせた二重構造。収納箇所を二つ用意したという説明だけでは、このディテールの面白さは伝わらない。

ショーツは面積が少ない。それだけに、大きめの立体ポケットを置けば視覚的な比重は当然高くなる。さらにもうひとつポケットを重ねれば、普通ならディテールばかりが目立ってもおかしくない。HK06では、その存在感を無理に消そうとしない。むしろポケットの大きさと膨らみ、二重構造によって生まれる奥行きを利用し、前身頃そのものの形へ変えている。

そこへCCPらしい立体的なパターンメイキングが重なる。身頃の上へ大きなポケットを後から貼り付けたという見え方ではなく、ポケットまで含めて前身頃全体の造形を考える。そのため収納という明確な機能を持ちながら、ポケットそのものがHK06のシルエットを構成するパーツとして目に入ってくる。

機能的なディテールを隠してシンプルに見せる方法もある。しかしHK06は、そこへ向かわない。必要なものは見せる。立体感も消さない。その代わり、見えているものすべてを服の形として成立させる。面積の少ないショーツにこれだけ存在感のあるポケットを置きながら、ポケットだけが勝って見えない。この難しいところを造形へ変えていることに、CCPの巧さがよく表れている。

収納とベンチレーションを、ひとつの構造へ

腿後ろ部分のサイドには、ジップポケットによるベンチレーションを兼ねたモバイルポケットを装備する。ここにもHK06の考え方がよく出ている。モバイルポケットという収納と、衣服内部の換気を担うベンチレーションを別々に設けるのではなく、ひとつのディテールへまとめている。

面積の限られたショーツでは、機能をひとつ増やすたびに見た目へ与える影響も大きくなる。収納のためにポケットを付け、換気のために別の開口部を設ければ、それだけ線もパーツも増えていく。HK06はひとつの場所へ複数の役割を持たせることで、必要な機能を削ることなく構造を整理する。

ここが前身頃との対比として面白い。前では二重構造のポケットを積極的に立体造形として見せる。その一方で腿後ろでは、収納とベンチレーションをひとつにまとめる。同じ機能的なディテールでも、すべてを同じ強さで主張させない。見せる場所と整理する場所をつくり、限られた面積の中で情報量をコントロールしている。

ウエストはイージー仕様にアジャスターバックルを配し、フィットを調整できる設計。前身頃の収納、腿後ろの収納と換気、ウエストの調整。それぞれに着用するための明確な理由がありながら、完成したHK06を見た時には機能の数を数えさせない。何を付けるかだけではなく、付けたものをどう整理し、全体へ収めるか。CCPはそこまでをデザインしている。

ゆったりしているのに、服の輪郭が残る

シルエットは全体的にややゆったりとした設定。それでも、単純に身幅を広く取ったショーツとは見え方が違う。CCPならではの立体的なパターンメイキングによって服そのものの輪郭をつくり、そこへ前身頃の立体ポケットがさらにボリュームを加えている。

ここで再び効いてくるのが、生地のハリだ。ゆとりのあるシルエットを柔らかな生地でつくれば、身体に沿って落ちることで輪郭も変わる。HK06は適度にハリのあるポリエステル生地と立体的なパターンを組み合わせることで、身体から少し離れたところにも服の形を残す。そこへポケットの膨らみが加わり、前後左右から見た時にそれぞれ異なる面が生まれる。

つまり、ゆったりしていることにも意味がある。単なるサイズの大きさではなく、ポケットを含めた造形を受け止めるための余白として働いている。そのためディテールには存在感がありながら、ポケットだけが身体から浮いて見えるのではなく、ショーツ全体のボリュームへつながっていく。CCPが得意とする立体的なパターンメイキングを、HK06では穿いた時の輪郭そのものから感じ取れる。

ショーツという制約が、CCPらしさを鮮明にする

フルレングスのパンツなら、デザインを受け止める面積にはまだ余裕がある。ショーツではそうはいかない。大きな立体ポケットを置けば、それだけで印象は大きく変わる。ジップを加え、バックルを加えれば、さらに情報量は増す。だからHK06で見るべきなのは、何を付けたかだけではない。これだけの機能を限られた面積へ入れながら、どこを見せ、どこを整理し、最後にどんな形へまとめたのかだ。

前身頃では二重構造の立体ポケットを造形として積極的に見せる。その一方で、腿後ろでは収納とベンチレーションをひとつにまとめ、機能を整理する。前身頃で見せた機能を腿後ろでは整理し、それを生地とパターンがひとつの輪郭として受け止める。異なる役割を持つディテールが、最終的にはHK06というひとつの形へ収束している。

HK06で目に入る立体感や複数のディテールは、単独で存在しているものではない。収納するための構造が造形を生み、造形を成立させるために生地のハリが効き、そのボリュームを受け止めるためにシルエットにはゆとりがある。一方で機能を整理すべき場所では複数の役割をひとつへまとめる。何かを足せば、その分だけ別の場所で整理する。そうやって全体の情報量を調整しながらHK06という形を成立させている。

HK06は、単なる機能だけのプロダクトでも、見た目だけを優先したファッションでもありません。限られた面積の中で、必要な機能をどこまで入れ、どこを見せ、どう形へ変えるのか。その難しいバランスを、二重構造の立体ポケット、ベンチレーションを兼ねたモバイルポケット、立体的なパターン、そしてそれを支える生地まで含めて一着にまとめています。最初は形に惹かれ、知るほど構造が気になり、穿くことでさらに理由が見えてくる。ただいま世界中でCCP中毒者続出中。LAMPAも、すでにその一人です。