2026/07/14 16:35







A VONTADE — SURFKNIT POLO SS VTD-0644-CS
ミリタリー顔なポロシャツ。
ポロシャツというアイテムは、不思議な服だ。
襟が付くだけで、自然と品が生まれる。
でも、一歩間違えれば真面目すぎる。
逆にラフさを求めれば、スポーティーな印象が強くなってしまう。
だからこそ、肩の力を抜いて着られて、それでもちゃんと格好いいポロシャツというのは、意外と少ないと思っている。
A VONTADEのSURFKNIT POLO SSを見た時、最初に感じたのは、そのどちらにも寄りすぎていないことだった。
男っぽさがある。
でも、上品さもある。
リラックスして着られる。
それでも、ラフになりすぎない。
何かを強く主張しているわけではないのに、袖を通すと雰囲気が出る。
A VONTADEの服は、着れば着るほど好きになる。
毎日着て、洗って、また袖を通す。
このSURFKNIT POLO SSも、まさにそんな一枚だと思った。
毎日着るために作られた、SURFKNIT。
このポロシャツ最大の魅力は、ブランドオリジナルで開発されたSURFKNIT素材にある。
使用しているのはMVS糸。
毛羽が少なく、摩耗に強い。
形態安定性に優れ、吸水性も高い。
毎日のように着て、洗濯を繰り返す服として、かなり理にかなった素材だ。
表面には、ワッフル調の凹凸がある。
立体感のある表情がありながら、裏面は肌当たりの良いフラットな仕上がり。
表から見れば、生地そのものにしっかり存在感がある。
でも、肌に触れる面は滑らかで、気負わず着ることができる。
見た目の良さと、日常着としての快適さ。
その両方を同じ素材の中で成立させている。
高機能素材という言葉だけで説明してしまうと、この生地の魅力は少し違って伝わる気がする。
機能を見せるための生地ではない。
服として格好良く見せながら、着て生活する人の負担を減らしている。
袖を通した瞬間の心地良さ。
洗濯を繰り返しても、安心して着続けられる頼もしさ。
そうした良さは、一度触っただけですべてが分かるものではない。
何度も着て、洗って、また着る。
その繰り返しの中で、少しずつ実感していく素材なのだと思う。
シンプルだからこそ、ごまかせない。
デザインは驚くほどシンプルだ。
ややゆったりとしたリラックスシルエット。
余計な装飾はない。
だからこそ、生地の表情も、シルエットも、襟の形も、そのまま服の完成度になる。
シンプルな服は、何かでごまかすことができない。
生地が弱ければ、そのまま伝わる。
シルエットに無理があれば、着た時にすぐ分かる。
デザインを足さないということは、その分、一つひとつの設計に理由が必要になるということだと思う。
襟には、編地を切り替えることで表現したラインが入る。
遠くから見て強く目立つようなデザインではない。
近くで見て、初めてその違いに気付くほど控えめなアクセントだ。
でも、その小さな違いがあることで、ポロシャツ全体の印象が静かに引き締まっている。
派手なデザインを加えて、分かりやすく個性を作るのではない。
細部を丁寧に積み重ねる。
その積み重ねによって、着た時の空気を作っていく。
それが、A VONTADEらしさなのだと思う。
ポロシャツなのに、どこかミリタリーを感じる。
個人的に、ポロシャツというと、トラッドやアイビーを感じさせるものが多い印象がある。
もちろん、それがポロシャツ本来の魅力でもある。
襟の付いた端正な見た目。
スポーツを起源に持ちながら、ジャケットやスラックスとも合わせられる品の良さ。
ポロシャツという服には、そうした背景が自然と重なって見える。
だからこそ、このA VONTADE SURFKNIT POLO SSは、僕には少し新鮮に映った。
「ミリタリーなポロシャツ」というジャンルが、実際にあるわけではないと思う。
この服にも、軍物をそのまま引用したような分かりやすいディテールがあるわけではない。
フラップポケットもなければ、エポレットもない。
ミリタリーウェアを忠実に再現した服でもない。
それでも、この一枚には、どこかミリタリーウェアを思わせる空気を感じた。
SURFKNIT特有の、ワッフル調の凹凸ある表情。
真っ白ではなく、少し生成りがかったIVORYの色味。
その二つが合わさることで、一般的なポロシャツが持つトラッドやアイビーとは少し違う、無骨な雰囲気が生まれている。
デザインではなく、生地と色からミリタリーを感じる。
そこが、このポロシャツを面白いと思った理由だった。
IVORYだからこそ、格好いい。
このポロシャツは、IVORYだからこそ格好いいと思っている。
真っ白ではない。
少し生成りがかった、曖昧な色味。
白ほどクリーンになりすぎず、ベージュほど色の印象も強くない。
その中間にあるような色が、SURFKNITの凹凸を自然に見せている。
生地の立体感が、色の柔らかさの中にきちんと残る。
ミリタリーウェアを思わせる男っぽさがありながら、土臭くはならない。
襟付きならではの品も、しっかり残っている。
無骨ではある。
でも、無骨すぎない。
上品ではある。
でも、真面目すぎない。
このどちらか一方に振り切らないバランスが、とても格好いい。
色、生地、シルエット。
一つひとつを別々に見れば、大げさな特徴ではない。
でも、それらが組み合わさることで、このSURFKNIT POLO SSにしかない空気が生まれている。
バイヤーとして、この一枚に惹かれた一番の理由は、そこだった。
気負わず着られる。それが、一番格好いい。
服は、着るためにある。
当たり前のことだけれど、服を見ていると、その当たり前を忘れてしまうことがある。
デザインが新しい。
ディテールが面白い。
素材に特別感がある。
もちろん、そういう服にも惹かれる。
でも、本当に出番が多い服は、少し違う。
朝、クローゼットを開ける。
その日の服を深く考えることもなく、自然に手が伸びる。
袖を通す。
鏡を見る。
特別なことは何もしていないのに、ちゃんと格好いい。
着心地が良い。
生地に表情がある。
シルエットにも無理がない。
一つひとつは、決して大きな特徴ではない。
でも、その小さな理由の積み重ねが、何度も着たくなる服を作っている。
頑張って着る服ではない。
誰かに見せるために、無理をして選ぶ服でもない。
気負わず着られる。
それでも、ちゃんと格好いい。
年齢を重ねた今は、そんな服に一番惹かれる。
「これでいい。」が、「これがいい。」に変わる。
本当に良い服は、最初から強く主張してくる服ではないのかもしれない。
買った瞬間だけ気分を高めてくれる服ではなく、着る回数が増えるほど好きになっていく服。
毎日着て、洗って、また袖を通す。
その中で、生地の良さが分かる。
シルエットの理由が分かる。
控えめなディテールが、なぜ必要だったのかが分かる。
そして、気付けばまた手に取っている。
「これでいい。」
そう思って選んだはずなのに、いつの間にか、
「これがいい。」
に変わっている。
そんな服こそ、長く付き合える一枚なのだと思う。
A VONTADE SURFKNIT POLO SS。
無骨な中にも、品がある。
ポロシャツらしい端正さを残しながら、どこかミリタリーを感じさせる。
気負わず着られて、それでもちゃんと格好いい。
日常の中で袖を通すほど、その良さが伝わってくるポロシャツだと思う。

