2026/07/05 19:02




STILL BY HAND ライトデニムタックパンツ DN01262
その軽さ、デニムの常識外。5.5オンスで迎える、真夏の太陽。
デニムは好きだ。
穿き込むほどに増していく表情。
色が落ち、アタリが生まれ、少しずつ自分のものになっていく。
Tシャツ一枚に合わせるだけで、スタイルが決まる。
何年服を見てきても、やっぱりデニムは格好いいと思う。
でも、真夏となると話は変わる。
暑い。重い。肌にまとわりつく。
朝、デニムを穿こうと思っても、外の気温を見てやめる。
僕自身、そんな日は何度もある。
だから、このDN01262を初めて手にした時は驚いた。
軽い。とにかく、驚くほど軽い。
一般的なデニムが13〜14オンス前後。
このパンツは、わずか5.5オンス。半分以下だ。
数字だけ見ても軽い。
でも、実際に手に取ると、その数字以上に驚く。
薄い。軽い。しなやか。
デニムとは思えないほど軽やかに、身体へ馴染む。
これは「夏でも我慢すれば穿けるデニム」ではない。
真夏に、積極的に穿きたくなるデニムだ。
5.5オンス。ここまで軽くする意味。
ただ薄いだけなら、話は簡単だと思う。
でも、デニムは軽くすればそれで良いわけではない。
僕がデニムに求めるのは、あの独特の表情だ。
Tシャツ一枚でもスタイルが成立する、生地そのものの存在感。
真夏に穿けるほど軽くても、その魅力まで薄くなってしまったら意味がない。
DN01262には、ちゃんとデニムの空気がある。
ライトオンスだからこその軽やかさ。
それでいて、デニムという素材が持つワークの匂いも残っている。
真夏は、どうしてもスタイリングが単純になる。
Tシャツ。シャツ。そしてパンツ。
使えるアイテムが少なくなるからこそ、パンツの表情が全体を大きく左右する。
そんな季節に、デニムはやっぱり強い。
デニムの存在感と、真夏の快適さ。
その二つを、5.5オンスという生地が成立させている。
小さなワンタック。その「少し」に意味がある。
ただ、このパンツの凄さは軽さだけではない。
むしろ、ここからがSTILL BY HANDらしい。
シルエットは全体的にややゆったり。
腰まわりから腿にかけて自然なゆとりを持たせ、裾に向かって軽くテーパードしている。
フロントには、通常よりも小さなワンタック。
大きなタックで腰まわりのボリュームを強調するわけではない。
かといって、フラットに仕上げるわけでもない。
ほんの少しだけ、タックを入れる。
そのわずかな分量で、腰まわりに必要な立体感を作る。
ゆったりしている。でも、野暮ったくない。
リラックスして穿ける。でも、ルーズには見えない。
僕は、こういう「少し」の調整にデザイナーのセンスが出ると思っている。
大きく変えるのは、ある意味わかりやすい。
でも、ほんの少しだけタックを小さくする。
その結果、穿いた時の見え方を変える。
こういう仕事は、一目では伝わりにくい。
でも、服が好きな人ほど反応してしまう。
後ろ姿を変える、わずかなズレ。
右脇には、ペインターパンツを思わせるサイドポケット。
ライトデニムという素材にワークウェアの空気を加えている。
ヒップポケットの上には、小さなタック。
このタックでヒップまわりのシルエットを調整し、自然な立体感を作っている。
さらに面白いのが、ヒップポケットそのものの配置だ。
ポケットを脇線へ流し込むように縫製することで、左右のヒップポケットを少し外側へ。
両サイド寄りに配置している。
ほんの少し、位置が違う。ほんの少し、構造が違う。
でも、そのわずかなズレによって、後ろ姿の印象が変わる。
「なんか良い。」
そう思って、もう一度見る。
そこで初めて、ポケットの位置に気付く。タックに気付く。脇線へ流れ込む構造に気付く。
知った瞬間、後ろ姿の見え方が変わる。
ワークの空気は残す。でも、野暮ったさには着地させない。
5.5オンスのライトデニム。小さなワンタック。ペインターパンツを思わせるサイドポケット。ヒップ上の小さなタック。両サイド寄りに配置された独特のヒップポケット。
一つひとつを見れば、どこかワークウェアの空気がある。
でも、完成したパンツは洗練されている。
ワークの匂いを消して、綺麗にまとめたわけではない。
ワークの空気は、ちゃんと残す。
でも、野暮ったさには着地させない。
その間にある絶妙な場所へ持っていく。
バイヤーとして長く服を見てきたけれど、こういうバランスは簡単には作れないと思う。
真夏だから、デニムを諦める。
そんな必要はもうない。
強い日差しの下。Tシャツ一枚で街を歩く。
その足元には、驚くほど軽い5.5オンスのデニム。
その軽さ、デニムの常識外。
5.5オンスで迎える、真夏の太陽。
