2026/06/10 19:10


YONETOMI SILK KNIT TEE

シルクに強さを与えた。


触った瞬間に、仕入れを決めた。

正直、こういうシルクは初めてだった。

シルクと聞くと、柔らかくて上品なものを想像する。

それは間違っていない。

でも同時に、どこか繊細で気を使う素材というイメージもある。

このニットは違った。

滑らかだ。

光沢もある。

肌触りも素晴らしい。

でも、それだけじゃない。

しっかりしている。

頼りない感じがない。

柔らかいのに安心感がある。

展示会で触った瞬間、

「あ、これ仕入れるやつだ」

と思った。

後から知った。

その違和感には、ちゃんと理由があった。


まず、生地を作ってしまう

米冨繊維には、生地開発室がある。

年間を通して生地開発だけに取り組む専門部署だ。

ニットメーカーとしては珍しい存在だと思う。

新しい糸。

新しい編地。

新しい着心地。

既存の素材を選ぶのではなく、理想の着心地から逆算して素材そのものを作る。

今回のシルク天竺も、その発想から生まれている。

日本唯一のシルク紡績工場へ別注し、この生地のためだけに糸を開発。

さらに、それを極限まで度詰めで編み上げている。

正直、

「そこまでやる?」

と思った。

でも触ると分かる。

だから、そこまでやったんだなと。


シルクらしくないという褒め言葉

このニット最大の魅力は、生地にある。

もちろん滑らかだ。

もちろん上品だ。

でも一般的なシルクニットとは少し違う。

薄くて繊細。

そんなイメージがない。

むしろ安心感がある。

しっかりしている。

頼りない感じがない。

上品なのに気を使わない。

シルクなのに毎日着たくなる。

正直、こういうシルクは初めて触った。

シルクらしくない。

でも、それはこのニットにとって最高の褒め言葉だと思う。

涼しさは、あとから効いてくる

本当に快適な服は、着た瞬間よりも数時間後に違いが出る。

暑い日。

湿度の高い日。

汗ばむ午後。

そんな時こそ素材の差ははっきり現れる。

シルクはコットン以上に優れた吸湿性と放湿性を持ち、衣類の中を快適な状態に保ってくれる。

蒸れにくい。

肌にまとわりつきにくい。

そして驚くほど涼しい。

さらに、このニットは自宅での手洗いも可能。

高級素材だから気を使う。

そんな常識からも自由だ。

快適さは派手じゃない。

でも毎日着る服にとって、一番大切な機能かもしれない。


70年続く挑戦

1959年。

まだ「ニットは冬のもの」という時代に、米冨繊維は日本初となるサマーニットの開発に挑戦した。

涼しくて。

風通しが良くて。

さらに洗濯にも強い。

そんなニットを作れないか。

その挑戦は、日本中のニット産業に広がっていった。

面白いのは、70年近く経った今もやっていることが変わらないことだ。

より快適に。

より着やすく。

より日常に馴染むように。

生地開発室を持ち、新しい素材を研究し続ける姿勢にも、その精神が流れている気がする。

今回のシルクニットも、きっとその延長線上にある。


触った瞬間に決まった

シルク100%だから凄いのではない。

理想の着心地のために、生地そのものから作り上げたから凄い。

日本唯一のシルク紡績工場。

生地開発室。

度詰めのシルク天竺。

そんな話を知らなくても、このニットの良さは伝わると思う。

なぜなら僕自身がそうだったから。

最初に惹かれたのはスペックではない。

生地だった。

触った瞬間に決まった。

これを仕入れないという選択肢は、なかった。