MODMNT SUPER MACKINAW
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■MDOMNT
「MODMNT」は、「Module(組み合わせ)」「Mode(流行)」「Equipment(装備/道具)」「Element(要素)」を組み合わせた造語「Modulement」の略称。
それぞれが独立したアイテムを自由に選び、組み合わせ、拡張できる“道具のようなウェア”を提案。アメリカン、アウトドア、ミリタリー、ヴィンテージといった要素を再解釈し、MODMNT独自の視点で再構築。一つひとつのユニットを組み合わせて拡張できる、新しい機能服=道具服を展開。
■Lampaの見解
MODMNT SUPER MACKINAW
森林作業着の合理性を、現代の技術で再構築する。
鈴木大器氏とNANGAが生み出した、もうひとつのマッキーノ。
服の歴史を知れば知るほど、昔の人々が必要に迫られて生み出したデザインの合理性には驚かされる。今では装飾として扱われるポケットや切り替え、独特なシルエットにも、かつては明確な役割があった。なぜその場所に生地を重ねたのか。なぜこれほど多くのポケットが必要だったのか。その理由を辿っていくと、古い服が単なる懐古趣味では片付けられないことが分かってくる。
そして、そうした服の構造を深く理解したうえで、現代の素材や技術を使って新しい価値を生み出すデザイナーがいる。日本を代表する世界的なデザイナー、鈴木大器氏もその一人だ。アメリカのワークウェア、ミリタリー、アウトドアウェアを背景に持ちながら、単なる復刻ではなく、素材の組み合わせや独自のパターンによって新しい服へと再構築してきた。
今回紹介するMODMNT SUPER MACKINAWは、そんな鈴木大器氏のデザインと、日本のダウンメーカーNANGAの技術が結びついた一着。デザインの源流には、アメリカの老舗FILSONが生み出したDOUBLE MACKINAW CRUISERがある。アメリカの森林作業着を出発点に、防水透湿素材、難燃素材、高品質なダウンを組み合わせ、まったく異なる構造の防寒着へと進化させている。
LAMPAがこの服に惹かれるのは、機能素材を贅沢に使用しているからだけではない。歴史的なワークウェアの造形を残しながら、その機能を現代の技術で置き換えていること。そして、素材の選択からポケットの配置、身体を包むシルエットまで、服としての面白さが失われていないことにある。
1914年の特許から始まる、DOUBLE MACKINAWの歴史
SUPER MACKINAWを理解するには、まずFILSONのCRUISERという服の歴史を知る必要がある。FILSONは1897年、アメリカのシアトルで創業した老舗アウトドアブランド。ゴールドラッシュに沸くアラスカへ向かう探鉱者たちに衣料や装備を供給し、その後はアメリカ北西部の森林で働く人々のための衣服を数多く生み出してきた。
CRUISERとは、もともと森林を歩いて樹木を調査するTIMBER CRUISERに由来する名称だ。彼らは森の中を長時間歩き、樹木の種類や大きさ、木材としての価値を調査する仕事をしていた。地図や野帳、コンパス、測定具を携え、雨や雪の中でも作業を続ける。そのために必要だったのが、身体を守りながら多くの道具を収納できる仕事着だった。
FILSONの創業者Clinton C. FilsonがCRUISERの特許を申請したのは1912年10月28日。そして1914年3月3日、アメリカ特許第1088891号として成立している。特許には森林調査員だけでなく、森林監視員、測量などに従事する技術者、探鉱者などを対象とした衣服であることが記されている。
興味深いのは、この1914年の特許に、後のDOUBLE MACKINAWへとつながる合理的な設計思想が見られることだ。森林での作業に必要な収納を衣服そのものに組み込み、身体を保護しながら道具を携行できる構造。仕事のために考えられた一つひとつの仕様が、そのままCRUISERという服の個性になっている。
その後、1922年のFILSONのカタログには肩と袖を二重にしたCRUISERが登場し、1934年には肩から胸を覆うケープ状の構造と二重袖を備えたモデルが確認できる。肩から胸、背中にかけて生地を重ねるだけでなく、袖まで二重にすることで、雨や雪、冷たい風にさらされる部分の保護を強化した。現在知られるDOUBLE MACKINAW CRUISERの特徴的な構造は、こうした森林作業の必要性から発展してきたものだ。
DOUBLE MACKINAWの特徴は、24ozの厚手ウールを使用した基本のCRUISERに、さらにケープ状のウールを重ねた構造にある。袖にも生地を重ねることで、肩から腕にかけての保温性と耐候性を高めている。背中には地図などを収納する大型のマップポケットを備え、前身頃にも道具を用途別に収納するためのポケットが並ぶ。生地を重ねることで身体を守り、ポケットを設けることで収納力を確保する。その結果として生まれた独特な切り替えや造形が、現在ではデザインとしても高く評価されている。
ここで鈴木大器氏が面白いのは、その形をそのまま再現しようとしていないことだ。かつて厚手ウールが担っていた防寒や耐候性を、現代の異なる機能素材へと置き換える。それでいて、DOUBLE MACKINAWを象徴するケープ状の切り替えや二重袖、数多くのポケットを備えた仕事着としての構造は残している。歴史を知っているからこそできる再構築であり、単なるヴィンテージの復刻とは明確に異なる。
AURORA-TEXとHINOC。異なる機能を持つ二つの素材
SUPER MACKINAWの生地には、NANGAが展開する二種類の機能素材が使われている。身頃全体には難燃素材HINOCを採用し、その上から肩や胸、背中を覆うAURORA-TEXのケープ状パーツを重ねる構造。さらにフードや袖にもAURORA-TEXを使用し、袖についてはオリジナルのDOUBLE MACKINAWと同様に生地を二重にしている。古いDOUBLE MACKINAWが厚手ウールを重ねることで防寒性や耐候性を高めていたのに対し、MODMNTでは異なる機能を持つ素材を組み合わせることで、その構造を現代の防寒着へと発展させている。
AURORA-TEXは、ナイロン生地の裏側に多孔質ポリウレタンによる防水コーティングを施した、NANGA独自の防水透湿素材。標準タイプでは40デニールのナイロンを使用し、耐水圧20,000mm、透湿性6,000g/m²/24hという性能を備えている。耐水圧とは、生地にどれだけの水圧が加わるまで浸水を防げるかを示す数値。20,000mmという値は、試験条件下で高さ20mの水柱に相当する水圧に耐えることを意味する。
一方の透湿性は、一定条件下で24時間に生地1平方メートルを通過する水蒸気量を示したもの。AURORA-TEXでは6,000gという数値が公表されている。多孔質ポリウレタンの微細な孔によって、液体の水の侵入を抑えながら、衣服内部の水蒸気を外へ逃がす仕組みだ。一般的な撥水ナイロンが主に生地表面で水滴を弾くのに対し、AURORA-TEXは生地の裏側に防水層を備えることで、雨や雪から内部のダウンを守る役割も担っている。
そして、このAURORA-TEXをHINOCの上から重ねていることが重要だ。森林作業着のDOUBLE MACKINAWが厚手ウールを重ねて雨や雪に対応していた場所へ、現代の防水透湿素材を配置する。さらに袖まで二重にするというオリジナルの構造を受け継ぐことで、単にケープの形を模倣しただけではない、DOUBLE MACKINAWの設計思想そのものが見えてくる。
もう一方のHINOCは、ポリエステル93%、アラミド7%を組み合わせたNANGAの難燃素材。一般的なポリエステルは熱によって溶融しやすく、焚き火などの火の粉が付着すると穴が開く場合がある。そこで耐熱性を持つアラミド繊維を混ぜることで、火の粉による損傷や燃え広がりを抑えることを考えた素材だ。
アラミドとは芳香族ポリアミド系の高機能繊維で、耐熱性や強度に優れ、防護服や産業資材などにも使われている。代表的なものにはKevlarやNomexなどがあり、特殊な用途で培われてきた繊維技術が、アウトドアウェアの素材にも取り入れられている。HINOCでは、こうした高機能繊維の特性を生かしながら、ポリエステルを主体とすることで衣服としての柔らかさや扱いやすさにも配慮している。
そしてHINOCには、コットンを思わせる自然な表面感がある。一般的な機能性ナイロンとは異なる質感を持つことで、身頃にはワークウェアらしい落ち着いた表情が生まれる。その上にAURORA-TEXのケープ状パーツが重なることで、同じ色でありながら素材の質感が異なるという、独特な見え方が生まれている。
ここは今回のSUPER MACKINAWで特に面白い部分だ。同色で統一されているため、ケープの切り替えが必要以上に強調されることはない。それでいて、AURORA-TEXとHINOCでは表面の質感が異なるため、光の当たり方や生地の重なりによって、それぞれの素材の違いが自然に浮かび上がる。色の切り替えに頼るのではなく、同色異素材によってDOUBLE MACKINAWの構造を表現する。機能的な理由から選ばれた二つの素材が、そのままデザインの面白さにもつながっている。
スペイン産760FPダウンと、日本の高度な羽毛精製技術
SUPER MACKINAWの防寒性を支えているのが、NANGAが採用するスペイン産ホワイトダックダウンだ。ダウン90%、フェザー10%、760フィルパワーという品質で、封入量は150g。ここで注目したいのは、単に高品質なダウンを使っているということではない。スペインでの水鳥の飼育から、日本での羽毛の洗浄・精製に至るまで、その品質を支える工程に明確な理由がある。
NANGAが使用するスペイン産ダウンの背景には、フランスとスペインの国境に位置するピレネー山脈東部の飼育環境がある。採用されているのはムラード種と呼ばれる水鳥で、マスコビー種とペキン種などを交配して生まれる品種。NANGAは、この水鳥から大きく発達したダウンボールが得られることを特徴としている。
さらに重要なのが飼育期間だ。NANGAの資料では、スペインの契約農場で80日以上の長期飼育(一般的な短期飼育では40日未満)を行っていると説明されている。飼育期間を確保することで水鳥の羽毛が成熟し、羽枝や小羽枝が発達した、嵩高性のあるダウンを得やすくなる。単にスペイン産という産地の名前ではなく、どのような水鳥を、どのような環境で、どれだけの期間育てるかという部分から品質が考えられているわけだ。
ダウンボールとは、中心から細い羽枝が放射状に広がった綿毛状の羽毛のこと。その細かな枝の間に大量の空気を保持することで断熱層を作る。ダウンジャケットが暖かいのは、羽毛そのものが熱を発生させるからではない。身体から生まれる熱が逃げにくいよう、動きにくい空気の層を作るからだ。したがって、羽毛がどれだけ膨らみ、どれだけ空気を保持できるかが保温性を考えるうえで重要になる。
その膨らみを示す指標がフィルパワーだ。760FPとは、規定された試験条件下で一定重量の羽毛がどれだけの体積に膨らむかを表した数値で、数値が高いほど少ない重量で大きな嵩を得られる傾向がある。一般的に600FP前後のダウンと比べれば、760FPは高い嵩高性を持つ。細かな羽枝が大きく広がり、その間に空気を蓄えることで、重量を抑えながら十分な保温層を形成することができる。
SUPER MACKINAWでは、この760FPのダウンを150g封入している。ダウン90%、フェザー10%という混率は重量比であり、保温層の中心となるのは綿毛状のダウンだ。高い嵩高性を持つ羽毛を一定量確保することで、厚手ウールを何枚も重ねる方法とは異なる防寒構造を成立させている。古いDOUBLE MACKINAWがウールそのものの厚みと重量によって暖かさを確保していたのに対し、MODMNTでは内部の羽毛が空気の層を作り、外側の機能素材がその保温層を守る役割を担っている。
そして、このスペイン産ダウンの品質をさらに高めているのが、1891年創業の日本の羽毛専門メーカー、河田フェザーの精製技術だ。三重県明和町に拠点を構え、原毛の洗浄から乾燥、除塵、選別までを一貫して行う。NANGAが世界トップレベルと評価するその技術は、羽毛本来の膨らみを引き出し、清潔な状態へと仕上げるために磨き上げられてきた。
その品質を支える大きな要素が、伊勢平野の地下水だ。洗浄に使用するのは硬度3〜5mg/Lという極めて軟らかい水。一般的な水道水の硬度が50〜60mg/L程度であることを考えると、その違いは大きい。ミネラル分の少ない超軟水を使用し、独自の水流で羽毛同士を擦り合わせる研ぎ洗いを行うことで、細かな羽枝を傷めずに余分な油脂や不純物を取り除いている。さらに高温乾燥や除塵、選別の工程を経て、ダウン本来の嵩高性を引き出していく。
その精製技術の高さを具体的に示すのが、羽毛の清浄度だ。これは羽毛を水とともに振とうし、その水の透明度を測定するもの。日本羽毛製品協同組合の基準では500mmが一つの目安となるのに対し、NANGAが公表する羽毛の清浄度は2,000mm。測定深度にして4倍に相当する数値であり、羽毛に残る微細な汚れまで徹底して取り除くという品質管理の高さがうかがえる。
スペインで80日以上かけて育てられた水鳥から得られる良質な原毛を、日本の高度な精製技術によって仕上げる。その結果として生まれる760FPのダウンが、SUPER MACKINAWの内部に150g封入されている。古いDOUBLE MACKINAWが厚手ウールの重なりによって暖かさを確保していたのに対し、この一着では良質な羽毛が作り出す空気の層によって保温性を高めている。歴史ある防寒着の構造を、現代の素材技術で置き換えるという今回の服作りを、内側から支える重要な部分だ。
13個のポケットと、鈴木大器氏が再構築したマッキーノの造形
素材の技術だけを見ても十分に興味深いSUPER MACKINAWだが、やはりこの服の面白さは、それらを一着の洋服としてまとめ上げたデザインにある。大きく身体を覆うケープ状の切り替え、二重構造の袖、数多くのポケット。機能素材を使った現代のダウンジャケットでありながら、その輪郭には古いアメリカの森林作業着が色濃く残されている。
収納は内外合わせて13個のポケットを備える。前身頃には複数の大型ポケットを配置し、背面にも収納を設けている。かつてFILSONのCRUISERが地図や測定具を持ち運ぶために多くのポケットを必要としたことを考えると、この収納構造にも歴史的なつながりが見えてくる。現代では収納するものが変わっても、ポケットの位置や大きさが服の外観を形作るという面白さは変わらない。実用的なディテールの積み重ねが、このジャケットならではの迫力につながっている。
フロントにはジップとボタンを組み合わせた構造を採用。古いワークウェアを思わせるボタンの表情を残しながら、現代のアウターとしての開閉方法も取り入れている。大きなフードやケープ状の切り替え、袖の二重構造など、DOUBLE MACKINAWを特徴づける要素が、異なる素材の組み合わせによって表現されている。
特に袖の二重構造は、この服の歴史的な背景を知るうえで見逃せない部分だ。FILSONのDOUBLE MACKINAWでは、肩や胸だけでなく袖にもウールを重ね、冷たい風や雨、雪から腕を守る設計が採用されていた。MODMNTでもその考え方を受け継ぎ、現代の機能素材によって二重袖を構成している。ケープ状の切り替えだけでなく、袖までオリジナルの設計思想を踏襲しているところに、鈴木大器氏の服作りに対する深い理解が感じられる。
シルエットは身幅にゆとりを持たせたボリュームのある設計。内部にダウンを封入しながらも、一般的なダウンジャケットとは異なり、ケープやポケットの重なりによって独特な輪郭が生まれる。肩から胸にかけて広がるケープ、身頃に並ぶ大きなポケット、ゆとりのある袖。それぞれが組み合わさることで、古いDOUBLE MACKINAWを思わせる重厚な姿を作り出している。
ここに鈴木大器氏の服作りの面白さが表れている。古い服のディテールを知り尽くしているからこそ、その構造を大胆に組み替えることができる。肩を覆う大きなケープ、二重になった袖、身頃に重なるポケット。それぞれに明確な役割を持たせながら、全体としてはひと目で印象に残る独特なシルエットを作り上げている。機能性を追求した結果として生まれた古い仕事着の造形を、現代の素材とデザインによって新しい服へと発展させているところが実に面白い。
そして実際に着たとき、特に目を引くのが同色異素材による見え方だ。肩から胸にかけて重なるAURORA-TEXのケープと、その下に広がるHINOCの身頃。同じ色でありながら、生地の質感が異なることで、切り替えの存在が自然に浮かび上がる。袖にも二重構造が採用されているため、上半身全体に素材の重なりが生み出す独特な表情がある。大きなポケットやゆとりのあるシルエットにも目が向くが、色を変えずに素材の違いだけでこれほど面白い見え方を作り出しているところが、この服の大きな魅力だ。
100年以上前に生まれた森林作業着の構造を、鈴木大器氏のデザインとNANGAの技術によって現代のダウンジャケットへと再構築。肩から胸を覆うケープと二重袖、同色異素材の切り替えが独特な輪郭を生み出し、その内側には760FPのダウンを150g封入。かつて厚手のウールが担っていた防寒性を、現代の素材技術によって実現している。
そう、まさにこれは現代におけるスーパーマッキーノなのです。
■Size
XSサイズ 肩幅56cm 胸幅58cm 着丈79cm 袖丈55cm
Sサイズ 肩幅58cm 胸幅60cm 着丈81cm 袖丈57cm
Mサイズ 胸幅60cm 胸幅62cm 着丈83cm 袖丈59cm
着用画像はSサイズを着用。店主は身長168cm、体重70kg、肩幅45cm、胸囲98cm、ウエスト84cm、ヒップ97cm、腿回り55cm、足のサイズは26.5か27cmくらいになります。
※自分の場合、Sで程よく大きめな感じで適正サイズかと。XSだと特にキツくはなくスッキリした見え方で細身の方には良いかも。Mだと自分には少し大き過ぎる感じです。
※おおまかですが身長165から170cmでXSサイズ、170から175cmでSサイズ、175から180cmでMサイズといった感じになります。
■Color
Black
■Style
Tops BETTER VINTAGE FLEECE KEY NECK PULLOVER BTR2525 2サイズ着用
Pants MOUT RECON TAILOR MOUT COMBAT WOOL UTILITY PANT MT-1805 48サイズを着用
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レビュー
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